最高気温が30度を超える日が続き湿度も増してかなり蒸し暑くなってきた天津。ですが、昨年に比べると雨量も少なくて幾分過ごしやすいような気がします。日中こそ日差しがジリジリと照りつけてきますが、夜ともなればヒンヤリと涼しい風が窓から吹き込んできます。そんな気候のせいもありますが、我が家は、先月の身体検査で脂肪肝と診断された哀れな同居人・トンパ大王の今後の健康のために、今年の夏は「ノー・クーラー」で通すことに決定しました。ものすごく蒸し暑くて寝られないような熱帯夜に限っては10分だけクーラーをつけてもいいことにしよう、という私の現実的な意見に対して、トンパ大王は厳しく「ノー」です。よほど脂肪肝と診断されたのがショックのようです。ちなみに今まで見向きもしなかった納豆を、体によいということで、律儀に毎日1パックずつ食べています。…まあそのようなわけで、我が家のクーラーのコンセントは抜かれたまま。こうなった以上は、このまま過ごしやすい天候が続いてくれることを祈るばかりです。そこまでしても脂肪肝が治らなかったあかつきには…フォアグラと偽ってフレンチレストランに売り飛ばすしかありません。さてさて前置きはこのくらいにして、今回ご紹介するのは天津の新名所「航空母艦キエフ号」です。
「キエフ号」(中国語で「基輔号」)は、1970年に製造され1994年に退役したロシアの航空母艦で、2000年に「天津国際游楽港有限公司(天津国際游楽港)」がロシアから買い入れ、およそ3年がかりの整備を経て、昨年2004年5月より一般公開しているものです。所在地は漢沽区南部沿岸の八卦灘。天津経済技術開発区(TEDA)のある塘沽区の北側の、彩虹大橋を越えたところに位置しています。天津市区内からのアクセスは、車で行くなら、外環線から津漢公路を通って漢沽区市街地に入り南下するか、京津塘高速公路か津濱高速公路を通って塘沽区市街地に入り北上するかで、所要時間はだいたい1時間から1時間半といったところです。タクシーをチャーターした場合、往復で160元くらいかかります。天津市区と開発区を結ぶ電車「濱海快速津濱軽軌」(通称「軽軌」)を利用して、終点「東海路站」でタクシーに乗り換えれば少しは安くなるでしょう。
薄曇りの某日、私とフォアグラ…いやトンパ大王は、知り合いのタクシーをチャーターして航空母艦「キエフ号」の待つ漢沽区へ向かいました。津漢公路を快調に飛ばして約1時間ほどで漢沽区の中心部に到着、そこから南下していくと急に建物が姿を消し、代わりに人の手が加えられているのかいないのか微妙な沼地の間に黒い煙をもうもうとあげる工場がぽつんぽつんと立っている工場地帯の風景が視界に入ってきました。荒涼とした景色の中を進んでいくと、前方のスモッグで霞んだ薄暗い空と地平線の間に、ゴツゴツした感じの物体が見えてきました。「キエフ号」です。