上海東方体育中心で世界水泳を観戦！

世界のトップスイマーが集う大会

暑ーい！真夏の上海の町に、さらに熱いトップスイマーたちの大会がやってきました。
　FINA第14回世界水泳選手権2011上海大会です。
2年に一度世界のトップスイマー達が一同に集まる大会で、必ずオリンピックの前年に行われ、ここで結果を出した人がオリンピックでメダルに近づくということからオリンピックの前哨戦とも位置づけられています。
　実際各国のオリンピック代表選手もこの大会での成績を基準に代表選考が行われることが多いことからある意味五輪以上の熱い戦いが繰り広げられることになります。
　そんななか、7月24日の日曜から始まった競泳初日の模様をウォッチングしてきました。

辿り着いたのはその名も今回の会場名と同じ「東方体育中心駅」。もとは「済陽路駅」という名前でしたが、観衆のためにこの大会にあわせて駅名を改称したようです。さすがやることが大胆なお国柄です。

この東方体育中心はこの世界水泳の招致をきっかけにフルリニューアルされた競技施設で広さ、で競技用の室内プールと室外プール、さらにトレーニング用プールなどを備えたまさに水泳競技のためのスタジアムです。
　会場正面には万国旗が立ち並びます。日本式の万国旗といえば紐に洗濯物のように連なるものを想像しますが、ここはさすが世界のアスリートたちを迎える大会ですから、そんな横着をしません。　一本一本をきちんとポールに掲揚します。
　おかけで会場前はナショナルフラッグポールの林のようで、壮観な眺めです。


東方体育中心駅		会場前のフラッグの林

厳重な安全検査

　　　さて入場ゲートでいきなり安全検査のための行列です。
　そして中国名物の整列用の行列通路です。こうでもしないと割り込みが得意な中国人たちを整列させられないということでしょうか？
　こちらも中国のこういった対応に慣れましたが、真夏の日差しの中のジグザグ行列を進まされるのは正直体に堪えます。
　そして安全検査、航空機の搭乗時と同じでポケットの中のコインまでチェックを受けます。結構厳しいといえば厳しいですが、まあ会場の安全確保のために協力しましょう。

入場ゲート前に長蛇の列

ここが入場ゲートで安全検査場

水泳競技のための巨大施設たち

　この東方体育中心には4つの建物があります。ひとつは玉蘭橋（マグノリアスパンナタトリウム）という室内プールを備える建物で今回水球の会場として使われています。
　そして月亮湾・室外跳水池（クレセントラグーンアウトドアダイビングプール）と呼ばれる屋外プールで今回飛び込み競技の会場として使われている。　さらにプレスセンターのある東方体育大厦があり、そして今回目指すのは海上王冠・体育館（クラウンインドアスタジアム）という大胆な名前のついた室内プールです。
その名の通り王冠のような外観が特徴の建物となっています。
　ここは世界水泳の前半戦ではシンクロナイズドスイミングの会場に使われていましたが、後半は競泳種目の会場として使われます。
　大きな水泳の大会ではこのように前半・後半でシンクロナイズドスイミングと競泳の住み分けが一般的のようです。
　ちなみに競泳は中国で競泳は「遊泳」、シンクロは「花様遊泳」と表記されます。花の様な泳ぎという意味でしょうか。原語のシンクロナイズドは同期という意味ですから、中国語の場合はこの競技を見る視点がかなり世界と違う気がします。
　このクラウンインドアスタジアムはプールの競技会場だというのに、日本のプールで感じるような消毒液臭さを全く感じなかったのがまず不思議だった第一印象です。　バレーボールなどの体育館、はたまたクラシックのコンサートでも中にあるのであるのはないかというほど、いわゆる水臭さというかちょっと汗臭いというか、あのスポーツ会場独特の臭さがありません。
　それだけ空調が爽やかな印象です。　


まさに王冠のような外観		内部は外光が取り入れられ非常に明る清潔

綺麗なプールに最新の設備

　こちらが今回座った席は入り口からぐるっと回って座ったのではいわゆるバックスタンド側の3階席です。と思っていたら眼下の一階席には貴賓席があり、いわゆるプールのスタート側にはプレス席もあったのでこちら側が正面だったのかも知れません。
　50mX８レーンの標準競泳プールを取り囲むようにぐるっと総2階席の観客席が設置されています。天井は軽量鉄骨の白い屋根で、照明用のブリッジが吊られています。
　そして天井センター中央には会場の四方に向けての4面のモニターが吊られ、競技結果や出場選手の名前が次々に表示されます。
　さらにプールの上空にはゴンドラカメラ、プールの底とサイドにもレールを走るカメラがそれぞれ設置され選手の泳ぎを刻銘に捉え、その映像がプールの短辺の円中央方向の3階席に設置された巨大モニターに映し出され、プールから遠い席に座った人でも、テレビ中継そのままの選手の表情や競技の状況などを確認できます。


広々明るい会場内。		天井から吊り下げられた巨大モニター

選手を追いかける自走式カメラ		競技の様子を映し出すモニター

世界各国からメディアが集合

　さらに地元中国のCCTVの放送席はもとより、日本のテレビ朝日が日本の放映独占中継権をもっているとのことで、放送ブースが設けられていました。
　メインキャスターとして元プロテニスプレイヤーの松岡修三さん、解説としてソウル五輪男子背泳ぎ100mの金メダリスト鈴木大地さん、そしてアシスタントとしてテレビ朝日のアナウンサー竹内由恵さんがいらっしゃいました。
　水泳中継の放送ブースというものは初めて見ましたが、ものすごくこじんまりというか、あまり広くない場所で中継を行っていてちょっとびっくりしました。


世界記録の瞬間をテレビカメラが狙う		日本の中継キャストは豪華です。

次から次へとレースが進む

　今回訪れたのが予選ということもあり出場選手の個々の紹介などは全く無く、次々とレースが消化されていきました。
　頼りになるのは天井から吊られたモニターの競技情報だけで、国籍、名前、コース順を頼りに選手を見ます。
　そうはいっても残念ながらよほどの水泳好きでない限り、予選レースでは一部の有名選手を除いてほとんど知らない選手ばかりで、会場にいた中国人の観衆たちも、自国の選手が登場して応援するのがやっとといったところのようでした。
　ただ国対抗となる４X100リレーでは会場全体が盛り上がり、特に中国チームの登場したレースは今回一番の会場の盛り上がりを迎えました。


リレーは盛り上がります		中国チームの活躍には会場全体が拍手を

大会を支えるスタッフたち

ところで今回のように実際会場に見に行くと、テレビ中継ではなかなか気がつかないプールの周りにいる数多くのスタッフの存在に気がつきます。
　まずは選手たちの服を運ぶアシスタントスタッフたち。ほとんどの選手たちは体を冷やさないために当然のことながらプールのスタート台に立つまでジャージなど一枚羽織った状態でプールに現れます。そしてレース直前にその上着を脱ぎ捨てるのですが、その際にスタート台脇にあるプラスチックの衣装ケースの中に服と靴を入れます。そしてレースがスタートします。
　レースがスタートした途端に次のレースの選手たち用の空のケースを持ったアシスタントが現れ、各コースのスタート台後ろの控え席の脇に置き、替わりに今度は今レースをしている人たちの服が入った衣装ケースを持ち帰ります。
　実は、選手たちはレース後は体がびしょ濡れなのですぐにそれを着れないのでそれを片付ける必要があり彼らがそれをフォローしているのです。選手がそれぞれ自分で運んでたら大変混乱しますから、こういったアシスタントの存在がレースをスムーズに進行させるのに大きな役割を果たしています。


選手はプールサイドで服を脱ぐ		服のケースを運ぶアシスタント達

審判が支える世界レベル

　　そして次に世界水準のレースを行うのに最も大事な審判たちの存在。プールの周囲を見渡すと、各コースの両端に一人ずつ、さらにプールの長辺部分にもスタートとターンの位置と中間のワイヤーなど張られている位置にも白っぽい服を着た審判員がいます。
　そして両端にいる審判員は選手がターンをする度に、上から覗き込み規定が守られているをチェックします。初めて見る光景だったのでちょっと不思議な印象でしたが、これはかなり重要なチェックのようです。
　また長辺側にいる審判は競技規定で定められている潜水距離などをチェックしているようで、種目ごとに立ち位置が変わります。
　こうやって厳重にチェックされた結果、時々規定違反と思われる失格者も出ます。会場のモニターだけでは失格理由まではわかりませんが、きちっとした審判が行われた結果、世界水準のレースが保たれているようです。


プールサイドに散らばる審判たち		ターンの様子を厳密にチェック

日系スポンサーが非常に目立つ、あの飲料容器も！

この大会には数々の中国企業に混じって日系企業のスポンサーもそのロゴマークを見かけました。
　日系の某カメラメーカーと某飲料メーカーがメインスポンサーのようで、看板も一番よい位置に設定されています。
　特に、飲料メーカーの方は会場内のあちらこちらのロゴマークの入った看板はもちろんのこと、選手のキャップや会場内に設置されたあの飲料の巨大容器が非常に目立っており、PR度抜群といったところのようです。
　中国はもとより世界中にあの容器が広がるのでしょうか？
予選は午前中で終了で、各種目の決勝が行われるのは夕方18時以降です。
　オリンピックに向けここからどんなスターが生まれるのでしょうか？
非常に楽しみです。