文文の中国茶道体験記44
第42回 やさしい中国緑茶
まだまだ蒸し暑い夏日が続いている上海です。夏にはやはり熱を下げる効果がある緑茶が一番ですね。また緑茶をベースに香り付けをしたジャスミン茶も新茶の美味しい季節です。 とても種類が多く奥深いのが中国緑茶です。緑茶は1人でボーと静かにゆっくり味わうのがぴったりかもしれませんね。日本人で、この中国緑茶を最初から好きという方は少数派です。日本茶の緑茶のイメージとかなり違うことが理由でしょう。
日本華道の伝統的なお生花では『葉蘭に始まり葉蘭に終わる』と言います。単純で簡単そうに見えるものこそ奥が深いという意味があります。中国茶は『緑茶に始まり緑茶に終わる』と聞いた事があります。青茶(ウーロン茶)と比べるとインパクトには欠けますが、長くじっくりつきあえるあきないお茶、これが緑茶の魅力です。
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● 日本緑茶と中国緑茶
日本茶は蒸す製法が主流だが、中国茶は一般に炒る製法が多い。もともと中国茶も蒸す製法が主であったが、明時代に団茶禁止令が出て、お茶を葉茶で飲むようになり製法も『炒る』方法へと変化した。日本にも江戸時代に炒る製法が伝わったが、定着したのは佐賀県の『嬉野茶』などほんの一部のみ。日本茶は味優先、中国茶は香り優先と言えるかもしれない。
● 中国緑茶
ロンジン茶・碧螺春・黄山毛峰の中国の三大緑茶の他、唐代最初の貢茶となったお茶『紫筍茶』の他『安吉白茶』など中国茶の60%近くは不発酵の緑茶である。中国で緑茶を常用している人は80%くらいとも言われ中国において緑茶はもっとも広く一般に愛されるお茶である。緑茶は他の茶に比べて一般に品質の低下が早い。できればお茶専用の冷蔵後での保存が一番だがなかなか家庭では難しい。最少単位(50g)を購入し早めに飲みきるのが良い。お茶屋さんでも黒茶(プーアル茶)以外の高級茶は冷蔵保存している場合が多い。
●ロンジン茶(産地:杭州)
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中国での緑茶の楽しみ方 温めたガラスのコップに直接茶葉を投入し湯を入れ(下投法)、何度もお湯を継ぎ足し何煎もお茶を楽しみます。
1煎目のお茶は茶葉を投入した後、一気にお湯を注ぐのではなくまず3分の1くらいの湯を入れ、少しなじませてから再度グラスの7分目くらいまで湯を注ぐと良いですね。 |
●ロンジン茶のふるさと 杭州
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●杭州茶葉博物館 杭州を本拠地に持つ『茶博覧』THE TIMEの雑誌はお勧めです。1冊20元程度で写真を見るだけでも楽しい。
上海では、湖心亭(ヨエン路257路)や唐韵音茶坊(衡山路199号)の茶舘で購入可能。
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●梅Wu家の茶舘 村の至る所にりっぱな茶舘がある。 |
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●1年を24にわけた24節季の一つに清明節があります。現在の暦では4月5日。この清明節の前に摘まれる茶葉が一番良いとされて『清明節の3日前に摘む葉は宝、3日後に摘むとただの草』という言葉があります。ぜひ、緑茶を買うときのよしあしの参考にして下さい。 お茶の購入の際には白い紙などに茶葉を広げ、茶葉のそろい具合、茶葉の色、形など外形(見た目の様子)、雑物は混入していないかなどをしっかり確認、次に試飲し香り、味、淹れた茶の色を確認、最後は茶殻の具合も確認してからの購入がお勧めです。
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天下第三の泉と言われる『虎Pao泉』 |
『虎Pao泉』泉の水で淹れるロンジン茶が一番美味しいと言われている。中国の1角コインが浮くほど表面張力が強い水。 |
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2005年8月在上海 :文文