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Root No.5
鞍山道
・鞍山道
・加油站
・糖堆儿
・鞍山西道
・豊田橋
鞍山道」は濱江道の北側に東西に伸びています。東は「海河」沿いの張自忠路から、西は紅旗路まで。まさに天津市の中心を東西に突っ切っている道です。正しくは鞍山道の中間で交わる衛津路を挟んで東側を「鞍山道」、西側を「鞍山西道」と言います。鞍山道は道幅が狭く、人力車や自転車、歩行者の通行が目立ちます。それとは対照的に鞍山西道は6車線の大通りで交通量も多いです。鞍山西道はまた天津有数のコンピュータ街で、コンピュータや周辺機器を扱う商店が集中しています。

鞍山道

上述した通り鞍山道の東側は道幅が狭く、また緑が多くて閑静な雰囲気が漂っています。張自忠路との交差点付近は左右に芝生が広がっており、座って談笑しているカップルや写真を取り合っている女の子たちも見受けられます。のどかです。天津にもこんな落ち着いた広場があったんですね。


張自忠路(手前)との交差点

この辺りから右手に目を移すと、ピンク色の高層ビルがそびえ立っているのが見えます。天津で有名なデパートで、その名も「百貨大楼」。そのまんまですね。犬の名前に「犬」とつけるようなもんです。もう少しシャレた名前は浮かばなかったんだろうかと思います。


右の高い建物が「百貨大楼」

「おー」

加油站

緑につつまれた鞍山道を西へ向かってしばらく歩くと、商店が並ぶちょっとにぎやかなところに出ます。通行のほとんどが歩行者か自転車で、時々リキシャのような三輪車が走っています。普通自動車の通行は少なく、あったとしても歩行者や自転車を優先して徐行しています。

そんな通りに何故か一軒「加油站」があります。加油站はガソリンスタンドのことです。五星紅旗を髣髴させる赤に黄色のラインが目印のペトロチャイナこと中国石油。その大きなガソリンスタンドが商店と商店の間に挟まるようにして立っています。明らかに浮いています。こんな通りで誰が給油するんだろうと余計な心配をしながら給油所に目をやると、利用客はちゃんといました。

給油しているのはリキシャでした。リキシャってガソリンで動くんだ、人力じゃないんだ。一見場違いのようなガソリンスタンドでも、利用する人がいる。利用する人がいるからそこにある。このガソリンスタンドの存在価値は十分にある。かくして私は天津の需要と供給がちゃんと釣り合っていることを学んだのでした。


街中のガソリンスタンド

「おぅー」

糖堆儿

この日は国慶節を過ぎたばかりとあって、道沿いには五星紅旗が秋風にハタハタとひるがえっていました。秋のやわらかい日差しに紅旗の紅色が照り輝いています。紅旗の左上の星って思ったより大きいんだなあと観察眼を光らせていると、ふと紅旗とは別の紅色が私の目に飛び込んできました。それは山査子(さんざし)飴でした。中国語で「氷糖胡芦(bing tang hu lu)」と呼ばれている、山査子の実を串刺しにして水飴でコーティングした中国北部の伝統的なお菓子です。


山査子飴(1本1元)

山査子飴の鮮やかな紅色に吸い寄せられるように近づき、傍らに座っているお兄さんに写真を撮ってもいいか確認すると、人の良さそうなお兄さんは快く応じてくれました。お兄さんは「氷糖胡芦はな、天津では“糖堆儿(tang duir)”って言うんだ」と丁寧に説明までしてくれ、そしておもむろに立ち上がって1本を手に取り、「食べてみるかい?」と勧めてくれました。私が慌ててポケットの1元札をまさぐっていると、「いいよいいよ、俺のおごりだ」とお兄さん。私はそのご好意に甘えることにしました。

一口にほうばろうとしましたが、水飴がガチガチに固まっていて歯がたたない。口を開けてフンガフンガしていると、お兄さんに「しっかり噛みつけ」と笑われてしまいました。水飴の甘さと山査子の酸っぱさが絡み合った糖堆儿は、別に中国で生まれ育ったわけでもないのに、どこか懐かしい味がしました。リキシャをこぐおじさんも、タバコ屋のおばさんも、そして目の前のお兄さんも、この糖堆儿を食べて大きくなったのかなあ。勝手に想像してしまいました。

「お おぅぅぅぅー」

おまけ

糖堆儿屋さんの近くに隠れた史跡を発見しました
静園」ラストエンペラー溥儀ゆかりの場所だそうです
だからと言って門をくぐっても何もありません

鞍山西道

糖堆儿屋さんをあとにして、また西へ向かって歩きました。南京路を越えて衛津路との交差点にさしかかりました。ここから鞍山道は鞍山西道に名前を変えます。道の様子もガラッと変わり、道幅が広くなって交通量も増えます。冒頭でも触れましたが、鞍山西道は天津では言わずと知れたコンピュータ街。通りに沿ってコンピュータの大型販売店や個人経営の店が軒を連ねています。

と言っても、全部が全部、道沿いに店を構えているわけではありません。大通りの裏手に「秘密の商い」が表の活気にも勝るように存在しているのです。この辺りでは所々に人が立ち、道行く人々に盛んに声をかけています。私も何度か声をかけられたことがあります。初めはなんの勧誘だろうと不思議に思っていたのですが、聞いた話によると彼らはヤミソフト販売業者らしいです。彼らについて行くと、コンピュータソフトを破格の値段で手に入れることができるそうです。一度お試しください。ってこんなこと書いちゃってよかったんでしょうか。

「はーん しーん♪」

豊田橋

鞍山西道の新名所「豊田橋」です。天津大学の北門の近くに今年の夏突如出現しました。日本の豊田自動車さんがこしらえた橋です。それで名前が「豊田橋」って百貨大楼に負けず劣らずストレートなネーミングです。


豊田橋


橋の上から見た鞍山西道

贔屓目はありませんが、トヨタの車を天津ではよく見かけます。トヨタは天津でずいぶん健闘していると思います。中国国産車の質が向上しているほか、ヴォルクスワーゲンなど欧米系の車が市場に積極的に参入している一方で、トヨタをはじめ日本車も依然として高い人気を誇っています。至るところで日本車が走っているのを見かけるにつけ、日本ブランドもまだまだ健在なのだなあと感じます。健在なのはいいけれど、そのブランドにあやかるように、日本メーカーと非常によく似たまぎらわしい商標マークも出回っています。これってどうなんでしょうかね、トンパ大王。

「半疑」

次回は「衛津路」を歩く予定です。
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Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/

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