ペンギンのお次はパンダ。中国の動物と言えば「大熊猫(パンダ)」ですね。しかし、中国ならばどこでもパンダが見られると思ったら大間違い。周知の通り、パンダは今や絶滅の危機に瀕しており、中国では「国宝」に指定されている貴重な動物で、現在は四川省の大熊猫保護基地にて野生パンダの保護と人工繁殖が懸命に行われています。
国宝級動物パンダは、こちら水上公園内にある天津市動物園でも見ることができます。天津市動物園は1980年の設立で、総面積約54ha、飼育している動物の種類180余種、毎年200万人を超える観光客を集める天津を代表する観光地です。天津市動物園のパンダは、前出の大熊猫保護基地より天津市がお金を払って借りています。
昨年末から年明けにかけて、新聞では連日のようにこの天津市動物園のパンダが取り上げられていました。なぜなら今年1月に5年間の借用期間が満了となり、保護基地への返還が迫っていたのです。天津からパンダが消えるかもしれない、隠れパンダマニアの私はドキドキしながらその成り行きを見守っていましたが、ある日朗報が入ってきました。借用期間延長。さらに、もともと野生のため出生が不明だったこのパンダの誕生日を、借用の契約日である1月26日とすることに決まったのです。
そのパンダの名前は「ランニャ」。今年で“パンダ年齢”24歳を迎えるメスです。ヒトでいうなら70歳のおばあちゃん。人生七十古来稀。古稀です、古稀。ヒトの平均寿命は今や80歳とも90歳とも言われていますが、パンダの寿命から考えたらいつ冥土へ旅立つかわからないご高齢。隠れパンダマニアの私としましては是非、このランニャばあさんに直接会って古稀の誕生日をお祝いしたい。一言「誕生日おめでとうございます」と恭しく申し上げたい。
ところが問題発生。動物園に辿り着く前に道に迷ってしまいました。水上公園を散策するのはこれが3度目だったのですが、どこをどう歩いても動物園が見当たらないのです。って、人に聞けば済む話なんですけど、「今日はそぞろ歩きに来たんだ、道に迷って新たな発見があるかもしれない」などと悠長に構えてぷらぷら歩いていたものだから、運よく動物園に辿り着いたものの、時間が足りなくなってしまったのです。
動物園に入るにはゲートで入場料を払う必要があります。大人も小人も一律10元。私がゲートの前で財布から小銭を取り出していると、係員のおばちゃんのほうから声をかけてきました。「おねえさん、パンダを見たいんでしょ?だったら急がないと。熊猫館は4時半に閉まっちゃうよ」ふ〜ん、そう。で、おばちゃん、今何時?「4時20分」仰天。今日の最大の目的は「ランニャに会うこと」。それが果たせなかったら今日1日のすべての散策が無駄になってしまいます。しかもランニャの誕生日は今日。明日出直しても意味がないのです。おばちゃんからチケットを受け取ると、私はランニャのいる熊猫館を目指して走りました。連載始まって以来のそぞろ走り!