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水上公園(2)
〜パラダイス編〜
・水上公園
・神戸園
・遊園地
・名脇役
今回は、2回に分けてお送りしている「水上公園」の後編です。前編「アニマル編」では水上公園の愛くるしい動物たちを紹介し読者のみなさまを癒してまいりましたが(自己満足)、本来水上公園は「癒し」の一言で語り尽くせるような場所ではございません。公園としては天津随一を誇る広大な敷地の中に、自然をはじめ歴史、文化、科学、非科学、ユーモア、サスペンス…さまざまなエレメントが凝縮して詰まっている、そんなところです。今回はそんな水上公園の実態に迫まります。

水上公園

水上公園は市街地の南西、天津市のランドマークである天塔(そぞろある記・衛津路の回参照)の西側に位置する天津市最大の総合公園です。設立は1950年、総面積は213haと歴史・規模ともに天津随一、天津市を代表する観光名所の一つです。

その名が示す通り、水上公園は総面積の2分の1(約100ha)が湖でできています。公園中央の最大の湖は島で2つに分断されていて、その東側を「東湖」、西側を「西湖」と言います。東湖の南側には、3番目に大きい「南湖」があります。四方に湖水を臨むスケールの大きい景色は圧巻です。

湖には13の小島が浮かんでいます。西湖に浮かぶ万佛島をはじめ琵琶島、紅蓮島、中途島、あとは一島、ニ島、三島…と九島まで続きます。一、ニ、三ってもうちょっと小洒落た名前は思いつかなかったのでしょうか。ま、このほうが覚えやすくていいとも言えますけど。また、公園の敷地内には前回ご紹介した天津市動物園をはじめ遊園地、水族館、日本式庭園をもつ「神戸園」などがあります。


東ゲートから西へまっすぐに伸びたメインストリート
この北側には、小さな湖を挟んで遊園地がある


水上公園最大の「西湖」
中央に見える緑は対岸ではなく、西湖に浮かぶ「万佛島」


西湖と東湖の境に架かる、かぎ型の橋

「天津タワーは」

神戸園

水上公園の南東の端、動物園のとなりに位置する「神戸園」は、1973年に天津市と姉妹都市の提携を結んだ神戸市が1989年、天津市との友好関係を記念して天津市と共同でつくり上げた日本式庭園です。

敷地面積は約1haほど。瓦をのせた木製の門をくぐると、北部に小高い山、中部に草地、南部に池があります。その配置は、北に六甲山、南に瀬戸内海を望む神戸市の地形を模倣していると言われています。庭園内にはサクラやマツやツツジなどの木がほどよい間隔をおいて植えられています。それらを囲むように小径がうねうねと続きます。

門を入ってすぐのところに茶室のような建物がたっています。萱葺き・障子戸で和風建築の風情を見事に再現しているのですが、何ゆえか軒下に赤ちょうちんがぶらさがっています。侘び寂びの境地を代表する茶室というよりは、峠の茶屋か居酒屋みたいです。しかしそれを除けば日本で見る庭園の風景そのもの。ちょっとノスタルジックな気分も味わえるでしょう。


瓦をのせた立派な門


南側から見た庭の全景
手前に池、中央に草地、奥に山

「2008年8月」

遊園地

続いてご紹介するのは水上公園内の遊園地。といっても、公園内にいくつかのアトラクションが点在しているだけで、専用の入場門も柵もありません。入場料もありませんが、その代わりに、各アトラクションを利用する際に料金を払うようになっています。


水上公園の東ゲートから西へ道なりに歩いていくと、大きな観覧車が目に留まります。観覧車は水上公園一の人気アトラクション。高さ62メートルで、「全国最高」と看板には記されています。私はかつてこの観覧車に2回も乗ったことがある奇特な人間です。おしゃれなスケルトン仕様で、窓から足元から天津の町を一望できます。上へ行くにつれて横揺れが激しくなり、ちょっとしたスリルも味わえます。密室でスリル。恋人同士で利用すればきっと愛が深まるのではないでしょうか。


観覧車の脇、水族館の真後ろにクリーム色の巨大な塔が聳え立っています。これは一体何でしょう?バンジージャンプの飛び降り台です。下はプールになっていますが、観覧車の上から覗いてみたところ、あまり深くなさそうです。セキュリティ面にいささか、いや、すごーく不安のある仕様になっています。ここのバンジーだけはお金をもらってもやりたくないです。

このほか、ボートによる湖上遊覧も楽しめます。スワン型の個人ボートもあれば、下の写真のように船頭さんが漕いでくれる中型ボートもあります。ボートはどうやら年中無休のようです。湖面に厚い氷が張る真冬であろうと何であろうとお客がいればボートを出す、船頭の職人気質に拍手を送りたいです。水上公園に訪れた際はぜひ、このボートを利用して湖上から見る風景をお楽しみください。


ぶ厚い氷の間を強引に進むボート
船頭がちょっとカッコよく見える…なんてことはありません


バンジージャンプの飛び降り台のとなりは「海洋館」
飛び降りたプールにアザラシがいる…なんてことはありません

「宇宙にむかつて」

名脇役

どんな物語でも、主役だけで成り立っている作品というのは滅多にあるものではなく、たいていは主役のほかに主役を引き立てる「名脇役」の存在が欠かせないものです。そして時には、脇役が主役以上に物語をおもしろくする場合だってあるのです。公園においても、同じことが言えるのではないでしょうか。動物園、神戸園、観覧車、海洋館といった、常に脚光を浴びている水上公園の「主役」たちの蔭には、それらをひっそりと支えている「脇役」たちの存在がある。どんなガイドブックにも絶対に紹介されることのない脇役たちを、最後にご紹介しようと思います。


何かの展示場かと思いきや、公衆トイレ
「海洋館」よりも立派


こちらも公衆トイレ。プリン型
イケてるのかイケてないのか微妙なところ


枯芝の上にぽつんと寂しげにたたずむ
ペンギンのゴミ箱


ペンギンのゴミ箱は公園のいたるところにある
それはいいが、向き間違ってないかい?


意味不明、野菜の盛り合わせ巨大オブジェ


野菜のとなりにはフルーツの盛り合わせ

「飛び立ちます」

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Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/

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