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天津駅前
・天津駅
・面的
・狗不理包子
天津駅

天津を語るにあたって、天津駅を無視するわけにはいきません。天津には大きな鉄道駅が3つあります。天津西駅、天津北駅、そして天津駅。天津駅は西駅、北駅に対して東駅とも言われています。北京・天津間(距離にして約140km)を約2時間で結ぶ特急列車の終着点がこの天津駅で、ここは言わば天津の玄関口。よく旅行者が駅に降り立った印象でその町を判断したりしますが、天津駅も例外なく天津の町を象徴していると言っていいと思います。

「このまえね、うつってたよ時代劇に」

天津の象徴物として誤解を与えかねない奇妙な物体が駅前広場にあります。巨大時計。2000年に建てらればかりの新しいモニュメントです。てっぺんの顔が太陽の塔を彷彿させます。芸術といえば芸術、ナンセンスといえばナンセンス。いや、はっきり言ってナンセンス。しかし芸術はいつの時代も不遇なものです。今はナンセンスでもいつの日か高い評価を得る時が来るかもしれません。そしてこれを歴史的芸術にするか粗大ゴミにするかは、これからの天津人の力量にかかっているのです。

こちらが天津駅の入口、裏手に回ると出口があります。タクシー、観光用の人力車、北京や青島など近郊都市へ向かう高速ミニバスがたくさん止まっています。ミニバスの車掌たちは「列車で行くより安くて速い」と盛んに客引きをしていますが、乗客が満員になるまで出発してくれません。

面的

ここでタクシーについて触れておきましょう。天津を走っているタクシーの種類は大きく分けて3つ。「サンタナ」「シャレード」そして「面的 miandi」。料金はこの順で安くなります。運転手の安全運転への心掛けと乗り心地は安さに比例して悪くなります。「サンタナ」と「シャレード」は殆どが赤塗りです。

面的は黄塗りの軽ワゴン車です。その形がパンに似ているところから、パン(面包 mianbao)のタクシー(的士 dishi)と、その名が付けられたのは有名な話です。数年前までは北京でもたくさん走っていたのですが、排ガスの環境汚染がひどいことから追放され、今や北京では完全に姿を消してしまいました。その環境にやさしくない面的が、なぜだか天津では市民の根強い支持を受けて町中をブイブイ言わせながら走っています。面的は今となっては天津でしか見られない乗り物。天津の町を象徴するものの一つに面的を挙げてもよいでしょう。

こちらがその「面的」。乗り心地は思った以上に悪い。特に後部座席は激しいたて揺れに襲われ、天井に頭を打ち付けることもしばしば。舌を咬まないように気を付けなければなりません。それから、故障・欠陥は当り前。ドアを閉めた拍子に取っ手が外れることがたびたびあります。雨の日の雨漏りも珍しいことではありません。

あれはある雨の日のこと。傘を持っていなかった私は面的に乗り込みました。ところがその面的にはワイパーがありませんでした。雨でどんどん前方の視界が悪くなっていきます。前が見えないのにこのまま走り続けて大丈夫か?と私が心配していると、運転手は運転席の脇からおもむろに壊れたワイパーの部品を取り出し、窓から手を出してフロントガラスを拭き始めました。これぞ手動ワイパー。運転手は私の横で「これだから雨の日は運転したくねえんだ」とブツブツひとり言を言っています。文句を言う前に修理しろ。ジェットコースターよりもスリリングなドライブでした。それ以来私は、雨の日はワイパーを確かめてから乗車するようにしています。

そんなデンジャラス・ビーグル面的にもいいところはあります。それは後部の広いスペースに自転車が入ること。自転車で外出して急に雨が降ってきた時やちょっと疲れた時、自転車ごと乗せて移動できるのは便利です。自転車の利用の多い天津では自転車の積める面的はかなり重宝がられています。北京で消えてしまった面的が天津ではまだ人気を集めている理由の一つがここにあると言えます。

「セルフィッシュジーンin天津」

狗不理包子

さて駅前から駅の脇に目を移しましょう。駅に隣接する形で「狗不理包子 goubuli-baozi」があります。老舗の包子(肉饅頭)屋で、天津で知らない者はいないというくらい有名な店です。天津人と知り合いになると、たいてい「狗不理包子たべたか?」と聞かれます。と同時に「別に食べなくてもいいぞ」と言われます。天津の名物であるにもかかわらず、天津人の評判はなぜだかあまり良くない狗不理包子。地元の人が言うのだから本当にあまりおいしくないのかもしれません。あるいは、天津人なりの謙遜なのかもしれません。まあ味についてはみなさん直接食べてご判断を。

ちょっと気になってしまうのが、店の入り口に立っている狗不理おじさん。天津のカーネルサンダース? 天津の食いだおれ人形? 天津のクラーク博士? …天津人よ、大志を抱け。それにしてもこの人、一体どこを見ているんでしょうか?

「イスカンダル」

次回は「建国道」を歩きます。
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Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/

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