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Root No.13
天津人民公園
・天津人民公園
・白虎
・愛犬博物館
・人民公園の七不思議
昨年6月の連載開始以来、取るに足らないことばかりつらつらと書き連ね続け、いつ打ち切りを宣告されてもおかしくなかった「天津そぞろある記」ですが、寛容な読者様と上海エクスプローラー編集部の皆様のおかげで、とうとう2年目に突入してしまいました。今後もこの鉄仮面のごとき厚顔に、UVカットファンデーションSPF50・PA++を塗りたくって、さらに図太く厚かましく連載を続けていこうと思っております。得意の黒いコメントで地道にファンを増やし続けているとんぱ大王ともども、どうぞよろしくお願いいたします。

さて今回ご紹介するのは「天津人民公園」(以下、人民公園)。天津で公園と言えば、ほとんどの方が水上公園を思い浮かべるだろうと思います。実際に水上公園は歴史・規模ともに天津随一を誇る、天津を代表する公園です(※連載第9、10回参照)。その陰に隠れてあまりクローズアップされることはありませんが、実はこちら人民公園も、水上公園と同じくらい地元天津の方々に親しまれているのです。天気のいい昼下がりともなるとここで集い憩う天津っ子たちの姿がたくさん見られます。“天津通”を目指すなら、やはり人民公園を知っておかなければなりません。試験にも出ます。

天津人民公園

人民公園は河西区の東北部に位置し、東は厦門路、南は{王京}州道、西は広東路、そして北は微州道に囲まれた一帯で、総面積は14.21ヘクタールとなっています。敷地内の西側に「西湖」という湖があり(やはり安直なネーミングです)、東側一帯を取り囲んでいる堀に注がれています。ちなみに湖(堀も含む)の面積は3.3ヘクタール、総面積の約4分の1を占めています。

人民公園の前身は、遡ること140余年、清の同治2年(1863)に造成された李春城という富豪の庭園です。解放後、人民政府によってこの庭園の全面的な修築が行われ、1951年7月1日に人民公園として正式に市民に開放されました。

前門傍らの紹介文によれば、人民公園は大きく5つのエリアに分けられ、東部が文化活動区、南部が小動物鑑賞区、西部が湖上・沿湖遊覧区、北部が児童遊楽区、そして中央部が「顕密園通殿」と称するエリアとなっています。このほか、色とりどりのバラが咲き誇るバラ園や、世界の犬と触れ合える名犬博物館、レストラン等もあり、自然、動物、娯楽、飲食とさまざまに楽しめる総合公園です。


間違って後門から入場しちゃいました
でも石の題字はなんと毛沢東主席の筆


西湖湖畔には青々とした柳が揺れています
その柳の陰や湖上のボートにはカップルが…


西湖の東側、公園の中央部にそびえる塔
実はこの木陰にも愛を語り合っているカップルが…


公園を一周するようにできている散歩道
緑のアーチの中を歩くのは気持ちいい!


前門の近くにある「勝春園」


「勝春園」はこの時期バラ園に一変
今が盛りと咲き誇る色とりどりのバラの花は
訪れる者の目を和ませてくれます


こちらが前門、さすが立派な構えです

「・・・・・・」

白虎

「白虎」とは、その字のごとくホワイトタイガーのことです。黒と白(もしくはクリーム色)の縞模様の体毛を持つホワイトタイガーはインドに生息するベンガルトラの白変種で、現在野生で生息している個体は確認されておらず、飼育されている個体も世界でたった200頭余りと言われています。そんな希少種が、驚いたことになんとこちらの人民公園に2頭も飼育されているんです。

人民公園の後門から西湖湖畔の散歩道を東へ歩くこと数分、左手に古い小さなお屋敷の門のようなものが建っています。その門をくぐると前方に円柱状の鉄柵の檻があり、そこにホワイトタイガーはいます。塗装が剥がれて赤錆の付着した檻はお世辞にもきれいとは言い難いものです。また檻の中はコンクリートの地面に人造の岩が転がっていて、自然物が一切ありません。清掃もまめに行っていないのでしょう、獣の臭いが辺りに充満しています。こんな檻の中に動物を飼うこと自体あまりいいことではないですが、ましてや世界で200頭しかいない希少種をこのような環境下に置いておいていいのかなあ、と思います。

当の2頭のホワイトタイガーは特に何をするでもなく、コンクリートの地面の上に大きな体をゴロンと横たえています。時々むっくり起き上がってジャレ合ったり、檻の中をうろうろ旋回したりしていますが、その動作に覇気はなく、肉食動物が持つ猛々しさは全然感じられませんでした。確かに大きな体を間近で見ると迫力を感じますが、この程度の迫力であれば、ムツゴロウさんなら平気で一本背負いくらい決めてくれるんじゃないかと思います。


檻の奥でゆっくりするホワイトタイガー
まるで猫


観客サービス
近寄るとやっぱりコワイ

「宝塚にもいたやうな」

愛犬博物館

前門から堀沿いの散歩道を東へ数十メートル行くと「愛犬博物館」があります。博物館と言うほどアカデミックなものではなく、世界中の犬を飼育・展示し、犬とのふれあいを目的としている、いわゆる「び○湖わんわん王国」(行ったことないけど)のような施設です。設立は2000年。博物館を利用するには人民公園の入場料1元の他に入場料2元が必要です。犬種は実に様々で大型犬ではセントバーナードやシベリアンハスキー、ジャーマンシェパード、ピレニアンマウンテンドックなど、中小型犬ではチャウチャウや日本犬、ポメラニアンなど、世界中の有名な犬種が飼育されています。

などと言うと愛犬家には堪らない場所のように思えますが、実際はそんなにすばらしい施設ではありません。犬たちの飼育環境が劣悪で、館内に入るや否や、糞尿と獣の臭いが混ざった鼻につく臭いがぷ〜んと漂ってきます。1800平米の殺風景な空間に、広さ1.5畳、高さ1.2メートルほどの檻が壁沿いに敷き詰められ、それぞれの檻に1〜2頭ずつ飼育されています。檻の下は少し隙間があって、檻の上で犬たちが排泄した糞尿が地面に垂れ流されています。飼育員がどのような世話の仕方をしているのか分かりませんが、犬たちにとって健全な環境ではないことは一目瞭然。こんな様子を愛犬家が見てしまったら、違う意味で堪らなくなってしまうでしょう。


博物館入口の傍らには放し飼いのワンちゃんたち
係員に頼めば、餌付けさせてもらえるようです


何だ、あの毛玉は? よく見ると子犬でした…


元気のないセントバーナード
胸が締め付けられます



犬たちの飼育環境の劣悪さとともに、

問題にしなければならないことがあります。

皆さん、次の写真をご覧ください。



「名犬博物館」(名称が統一されていない)というプレートの前で愛くるしい笑顔を振り撒いているのは警視庁の公式シンボルマスコット、ピーポくんです。日々東京都民の声に耳を傾け、社会の公序良俗の安定と治安維持ために働いていなければならないはずのピーポくんが、何故この天津の人民公園に?と不思議でなりません。ピーポくんよ、こんなところで油を売っている場合じゃないぞ!

「アンテナ・・・社会全体の動きを素早くキャッチするためのものだよ(略)
「警視庁シンボルマスコット」は商標登録してあります。
―ウエルカムけいしちょうより―」

人民公園の七不思議

愛犬博物館のピーポくんをはじめ、人民公園にはミステリーがたくさんあります。人民公園の七不思議をご紹介しましょう。

<ミステリー1>ロデオ


なぜこんなところにロデオ?

<ミステリー2・3>メリーゴーランド


一見ごく普通のメリーゴーランドのようですが…


鯉もいます

<ミステリー4・5>西湖のボート


一見普通の足漕ぎ遊覧ボートのように見えますが…


うさぎの顔がこわい


そして、青ざめたミッキー

<ミステリー6・7>児童用の乗り物


こちらにもミッキ−?


そして、ピカチュー!

「小説(しょうせつ)・音楽(おんがく)・映画(えいが)・コンピュータプログラムなどを
作(つく)った人(ひと)にはどんな権利(けんり)があるのかな? 
―文化庁こどもむけホームページより―」

次回は「白堤路」を歩きます。
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Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/

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