天津そぞろある記21:エクスプロア天津
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Root No.21
蘇堤路&青年路
・「津河」について
・水のある風景


頬をなでる薫風が心地よい5月某日「蘇堤路」「青年路」という2つの道をそぞろ歩いてきました。天津に住んでいる日本人でこの2つの道の名前を知っている人はほとんどいないと思います。地元天津っ子でさえこれらの道の名前を意識して通っている人は少ないのではないでしょうか。それくらいマニアックな道を今回のそぞろあるきに選んだ理由は、「蘇堤路」と「青年路」が「津河」という川に沿っているからです。

そもそも川沿いの道を歩こうと思った発端は、先日北京から天津に赴任されたばかりのある日本人の方に「天津は水辺が多くてほっとする」と言われたことに始まります。かれこれ3年半余りずっと天津に住んでいる私にとって、天津の風景はすでに日常化していて、特別な感動や驚きを抱かなくなっていました。自転車が多い。そんなの当たり前。タクシーが汚い。仕方ない。空気が乾燥していて埃っぽい。慣れた。「柳絮」が舞い始めた。ああ、またか…。こんな調子ですから、天津に水辺が多いなどと感動するどころか、ここのところ水辺のある風景を気に留めたことすらありませんでした。

「天津は水辺が多くてほっとする」そんな風に天津を見ている人がいるのか。これは私にとって大きな発見でした。確かに、天津市の北の郊外から天津駅の前を通って渤海湾に注ぐ「海河」をはじめ、衛津路沿いを流れる「衛津河」、その西側を流れる「津河」など、天津は豊かな水系に恵まれています(もっとも、市内の「衛津河」「津河」は人工的で水の流れも淀んでおり、河というより堀のような状態になっていますが)。ちょっと河のある風景を歩いてみようか、そんなわけで「津河」沿いの「蘇堤路」「青年路」を選んだのでした。

 

「津河」について

ではあらためて「蘇堤路」と「青年路」をご説明しましょう。それにはまず「津河」の説明から入る必要があります。

天津の道路は四方八方に伸びていてまるで迷路のようだと天津に来たばかりの人は言いますが、水路もまたしかりで、まるでマスクメロンの模様のようにあっちこっちへ伸びています。その中で主流をなすのが華北最大と言われている「海河」です。名前だけ見ると海なのか河なのか何なのかよく分かりませんが、歴とした河です。憶測なんですが、今でこそ対岸がはっきり見える「海河」は、かつては今ほど土が堆積していなくて川幅も広く、海と見紛うほど大きな河だったのではないでしょうか。それで昔の人は海のような河、「海河」と名付けたのではないでしょうか。さてその「海河」の上流(天津市の北西側)には300本以上もの支流があると言われています。それが中流にて「北運河」「子牙河」「南運河」などに流れ込み、天津市区の北部で合流して再び「海河」となって天津市の南東の渤海湾へ注がれます。

西青区楊柳青の南側を西から東に流れている「南運河」は、天津中心市区の北側を通って古文化街の北の当たりで「海河」と合流します。「津河」は「南運河」の支流で、芥園道と紅旗路の交差点の北西付近から分岐して南に向かって流れています。初めはS字状に自然なうねりがありますが、長江道を過ぎたあたりからは人工的で紅旗路に沿って真南に伸びたあと復康路の交差点で90度に曲がり東へ流れます。この流れは復康路と衛津路の交差点で衛津河と交わり、さらに東側の解放南路の近くにある「津河記念広場」まで続きます。

まあ左図を見れば一目瞭然なんですが「南運河」から「津河」が分岐するあたりから長江道の交差点までの道が「青年路」で、それ以南の道が「蘇堤路」となります。

「高蛋白」

水のある風景

 
今回、私は復康路と紅旗路の交差点付近から、「津河」の南から北へ向かって歩くことにしました。普段見慣れている人工的な直線的な川の流れがどのようにして始まるのか、遡ってみました。


鞍山西道以南から北に向かって見た「津河」は川幅があり直線的


上写真向かって右側(左岸)の「蘇堤路」は車の通行不可
並木に囲まれた静かな通りで、散歩するおじいちゃんやカップルが多い


鞍山西道以北の「蘇堤路」は左側にも建物が建っていて川が見えない
自動車整備業やタイル屋などが軒を連ね、ゴミゴミした感じ


北へ進むにつれて川幅が狭くなり、整備も不完全に


さらに北へしばらく行くと、急に開けて建設中のマンション群が現れる
昨今の不動産購入ブームに伴い、郊外のマンションが増えている


黄河道を過ぎると高い建物もなくなり、本当の田舎となる
同時に道の両脇にカラフルなパラソルを立てた市場が登場する


市場の中を覗くと、トイレットペーパー、靴、本、金魚…
ありとあらゆるものが売られていて、けっこう便利そう
近くに大型スーパーなどない田舎では市場が市民の生活を支えている


西門外大街を過ぎると、川の流れは西へカーブ
このあたりは観光バスのような大型バスがたくさん止まっていた


紅旗路との交差点から西側を臨む
この先さらに西へ行くと「南運河」に交わる…はず
(ごめんなさい、ここで力尽きて帰りました)

「フォアグラ大王」

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Illust & Text by KEYOU... http://keyou.at.infoseek.co.jp/

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